相続
2018/03/26

相続時精算課税制度ってどんな制度?

(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
相続対策として生前贈与を有利に行うための制度として、相続時精算課税制度があります。ただし、その効果を最大限に高めるためには、制度の内容を把握し、将来の相続も含めてしっかりと計画を立てて実施することが大切です。相続時精算課税制度の利用のポイントを解説します。
 

相続時精算課税制度とは?


相続時精算課税制度とは、贈与で若い世代へスムーズに資産を移転し、経済を活性化させることを目的として作られた制度です。この制度を利用して贈与を行えば、2,500万円までの贈与財産については贈与税がかかりません。通常の贈与では、贈与税がかからない非課税枠は年間110万円ですから、一度に多くの額を非課税で贈与できるのが相続時精算課税制度の大きな特徴です。

ただし、将来的に贈与者(財産をあげた人)が亡くなった時には、「相続時精算課税制度を利用して生前に贈与した財産」と、「亡くなった時点での相続財産」を合計して相続税額を計算する必要があります。つまり相続時精算課税制度は、税金の支払いを相続発生時に先送りしている、と考えることもできます。

しかし受贈者(財産をもらう人)にとっては、いつになるかわからない相続時に財産を受け取るよりも、住宅取得や子育てなどでまとまった資金が必要な時にタイミング良く贈与してもらいたい、という場合もあります。相続時精算課税制度はそのようなニーズに適した制度と言えます。

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相続時精算課税制度の適用条件や利用方法は?


相続時精算課税制度の適用を受けられるのは、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫へ贈与されることが条件です。贈与財産の種類や金額、贈与回数に制限はありません。つまり2,500万円の範囲なら、複数年にわたって何回贈与をしても非課税だということです。2,500万円を超えた贈与額については、一律20%の贈与税が課されます。

受贈者は、贈与者ごとに当制度を適用するかどうかを選ぶことができます。例えば、父と母の間に子供が1人いるとしましょう。子供が父母両方からの贈与に対して相続時精算課税制度を選択すれば、2,500万円ずつ計5,000万円まで、非課税で贈与を受けることができます。また、父からの贈与には適用するが、母からの贈与には従来の贈与(暦年贈与)を適用する、といった使い分けも可能です。

制度を利用する際には、税務署に対して利用する旨を(相続時精算課税制度選択届出書)を届け出る必要があります。その際、受贈者と贈与者の戸籍謄本・住民票等の書類の添付が求められます。届け出た後も贈与があった年には申告が必要になります。

なお相続時精算課税制度を一度選択すると、選択した年以後、贈与者が亡くなるまで継続して適用されます。制度の利用を取り消すことはできません。また、同じ人からの贈与に対して暦年課税(非課税枠年間110万円)を利用することができなくなるので注意が必要です。
 

相続時精算課税制度が有利になるケース


相続時精算課税制度では、相続発生時に贈与財産と相続財産を合算して相続財産と捉え、相続税額を計算しますが、贈与時の金額を贈与財産として合算することになっています。

つまり、贈与してもらった財産が相続発生時に値上がりしていたとしても、贈与時の低い金額で計算してもいいということです。したがって、立地の良い不動産や、業績の良い会社の自社株などを贈与して、その価格が相続時に値上がりしていれば、相続税の負担軽減メリットが大きくなるということです。

また、相続時精算課税制度は、「住宅取得資金の非課税特例」と併用できます。この特例は、父母や祖父母から子や孫へ住宅資金を贈与する場合に、一般住宅なら700万円まで、省エネ住宅なら1,200万円までが非課税になる制度です(2020年3月31日までに契約を締結した場合の金額)。つまり相続時精算課税制度とこの特例を併用すれば、一般受託なら3,200万円まで、省エネ住宅なら3,700万円まで非課税で贈与ができます。

相続時精算課税制度はメリットの大きい制度ですが、相続税と贈与税をトータルで考えると必ずしも負担軽減にはならないケースもあるので、検討の際は専門部署のある金融機関や専門家に相談することをおすすめします。
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