事業承継
2018/02/13

中小企業経営者の半数以上が事業承継の対策ができていない?

(写真=patpitchaya/Shutterstock.com)
(写真=patpitchaya/Shutterstock.com)
中小企業の経営者にとって、事業承継は重要な経営課題です。特に昨今の後継者不足問題は、中小企業の存続に関わる問題となっています。ところが中小企業の経営者の5割は後継者を選定できていません。また、事業承継は後継者選びだけでなく、引き継ぐべきものも多いことから、早めに手を打つ必要があるのです。そこで今回は、中小企業における事業承継の対策について見ておきましょう。

中小企業経営者の重要課題である事業承継


まず、中小企業の事業承継が日本全体にとっても重要な課題であることを確認しておきます。

中小企業庁が2016年12月に発表した『事業承継ガイドライン』によれば、中小企業の数が我が国の企業全体に占める割合は約99%であり、従業員数では約70%を占めています。つまり、中小企業が私たちの社会や経済に与える影響は大きく、また雇用面から見ても非常に大きな役割を担っていることが分かります。

ところが、経済産業省が2017年10月に発表した『中小企業・小規模事業者の生産性向上について』によれば、今後10年の間に経営者の平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者約245万人のうち、約半数の127万人が後継者未定であるといいます。

この状況を放置した場合、2050年頃までに累計で約650万人の雇用が失われ、GDPでは約22兆円が失われる可能性があると同省は推定しています。これらのことから、中小企業の事業承継が日本の社会や経済にとって、どれほど重要であるかが分かります。

事業承継の対策で押さえておきたいこと


事業を長く続けていくためには事業承継は必須です。しかし事業承継には後継者選びや多岐にわたる引き継ぎを円滑に行うための時間が必要です。

また、「まだまだ現役でやっていけるから」と事業承継を先送りしている状態の経営者に万が一のことがあった場合には、事業の継続が困難になる可能性もあります。早めに事業承継に向けた対策を打っておく必要があるでしょう。そこで、事業承継の対策として押さえておきたい点を確認しておきます。

● 後継者選び
事業承継において最も重要なことは後継者を決めることです。後継者というと、真っ先に経営者の子どもが浮かびますが、彼・彼女たちに継ぐ意志がないなど、身内から後継者を選べない場合が増えています。この場合は役員、従業員などの社内から後継者を見つけるか、M&Aなど外部に後継者を求める必要があります。

● 後継者の準備期間
後継者には、引き継ぐ会社の経営状況の把握や事業内容の理解、従業員や取引先との信頼関係の構築など、経営権を円滑に引き継ぐための準備期間が必要です。何より、前経営者の経営理念についても理解しておかなければなりません。

● 資産の承継対策
事業承継で承継される資産には、事業資産(設備や不動産など)、債権、債務、自社株などがあります。これらの資産の状況によっては贈与税や相続税が発生することがあるため、税負担を軽減するための対策や資金調達の対策も必要になります。

また、親族内で承継する場合は、経営者個人の負債や保証関係の引き継ぎも考慮する必要も生じます。このように資産の承継は複雑なため、早くから税理士などの専門家に相談しておくことが重要です。

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事業承継をどのように進めていけばよいか


事業承継はできるだけ時間をかければ、余裕を持って円滑に事業を引き継ぐことができます。それではどのような手順で進めれば良いのでしょうか。中小企業庁が2017年4月に発表した「中小企業・小規模事業者向け 経営者のための事業承継マニュアル」では、5つのステップで進めることを提唱しています。概要を紹介します。

● ステップ1 事業承継に向けた準備の必要性を認識する
事業承継により社内外にどのような影響を与えるのか、また事業承継には後継者の育成や資産の承継などを理解するために時間がかかることを認識します。同マニュアルでは、経営者が60歳になった頃から事業承継の準備を始めることを勧めています。

● ステップ2 経営状況・課題を把握し、「見える化」する
会社の経営状況を把握し、関係者と認識を共有します。具体的には、資産・負債の洗い出し、知的資産(ノウハウやブランドなど)の洗い出し、経営の強みと弱みの確認、業界内でのポジションの確認、後継者の選定と関係者からの意見の確認、相続税対策の検討などを進めます。
この段階から、専門家に相談することが勧められています。

● ステップ3 事業承継に向けて会社を磨き上げ、経営改善に取り組む
会社の経営状態を、後継者が引き継ぎたいと思えるような状態に改善します。そのために、財務体質の健全化や事業の競争力強化、社内規定の整備などを行います。そして次のステップからは、親族内・従業員に事業を承継するのか、社外に引き継ぐかで打つべき施策が分かれます。

● ステップ4-1 (親族内・従業員承継の場合)事業承継計画の策定
後継者が承継した後の事業状態を考え、中長期的な事業計画と事業承継計画を立てます。前の経営者の経営理念も引き継げるようにします。

● ステップ4-2 (社外への引き継ぎの場合)M&Aのマッチングを実施
会社の売却を仲介機関に依頼します。その際、社名を残すのか、売却は事業全体か一部なのか、従業員の雇用を保証するかなどの条件を明確にします。

● ステップ5 事業承継・M&Aの実行
税務や法務に関して専門家の助言を得ながら事業承継を実行します。

計画的な事業承継を


中小企業の事業承継の現状と重要性を確かめ、具体的な事業承継の進め方について見てきました。事業承継は、単に資産や経営権を引き継ぐのではなく、企業の社会的な価値や信頼、経営理念など、形を持たない価値も引き継ぐ必要があります。

スムーズに承継するために準備期間を確保するため、専門部署のある金融機関や専門家には早めに相談することが重要であると言えます。
執筆:株式会社ZUU
 

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