事業承継
2018/02/13

事業承継で考えたい自社株の評価を下げる方法

(写真=Doidam 10/Shutterstock.com)
(写真=Doidam 10/Shutterstock.com)
事業承継では相続税や贈与税をいかに低く抑えるかが課題となります。相続税や贈与税を低く抑えるためには自社株の評価を下げることが重要です。そこで、まずは株式がどのように評価されるのかを理解しておかなければなりません。

以下では、相続税や贈与税における株式の評価方法を紹介し、どのようにすれば自社株の評価を下げることができるのかを分かりやすく解説します。

また、具体的に評価を下げるための方法もいくつか紹介します。将来の事業承継に向けた具体的なアクションを検討する際の参考にしてみてください。

自社株の評価を下げる意味


● 自社株式を後継者に譲渡する
会社オーナーが保有している自社の株式を後継者に譲り渡すことは事業承継の一つです。譲り渡す方法としては生前贈与や相続が一般的です。生前贈与や相続が行われると、それぞれに対して贈与税や相続税が課されます。

● 贈与税や相続税は財産の価格に応じて変わる
贈与税や相続税は対象となる財産の価格に基づいて課されます。例えば、税率が同じ30%だったとしても、財産の価格が1,000と評価されれば税額は300(=1,000×30%)、財産の価格が1,500と評価されれば税額は450(=1,500×30%)となります。

● 財産評価の方法は国税庁の基本通達に従う
したがって、贈与税や相続税を下げるには財産の価格を下げることが一番です。価格の算定方法は財産の種類によって異なります。具体的には、国税庁が定める「財産評価基本通達」に従って算定します。自社株の評価方法も通達に定められています。

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株式の評価方法


● 株式の取得者が同族株主の場合
非上場会社など取引相場のない株式を承継する前提では、後継者が会社への支配力を持っている「同族株主等」に該当する場合、大会社では「類似業種比準価額方式」、小会社では「純資産価額方式」、中会社では両者を折衷する方式により評価を行うのが原則となります。

● 株式の取得者が同族株主でない場合
これに対して、後継者が「同族株主等」に該当しない場合、大会社、中会社、小会社などの区分をせず、「配当還元方式」によって評価を行います。なお、大会社、中会社、小会社の区分は、総資産価額、従業員数、取引金額に基づいて判断されます。

・「類似業種比準価額方式」とは?
「類似業種比準価額方式」は、評価対象となる会社と上場している類似業種の会社の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産簿価を比較して株価を算定する方法です。つまり、自社の配当、利益、純資産が大きくなればなるほど自社の株式評価も大きくなることを意味します。

・「純資産価額方式」とは?
「純資産価額方式」は、会社の純資産額をもとに株価を算定する方法です。純資産額は帳簿価額そのままではなく、個々の資産や負債を相続税の評価に置き直して算定します。そのため、留保利益をため込んでいたり、評価が高くなる資産ばかり保有していたりすると、純資産額は高く算定されてしまいます。

● 「配当還元方式」とは?
「配当還元方式」は、株式を所有している者が受け取る1年間の配当金額を一定の利率(10%)で割り返すことにより株価を算定する方法です。つまり、配当を多く支給していれば株価は高く算定されます。

自社株を下げるための方法


それぞれの評価方法により自社株の計算要素は異なりますが、おおむね利益や純資産を抑えれば株価を低く抑えることができると言えます。具体的な自社株対策としては以下のような方法が考えられます。

● 役員への退職金
オーナー社長などに対して役員退職金を支給する方法です。退職金を受け取った側は、所得税を計算する際に「退職所得控除額」を差し引くことができるため、配当を受け取るよりも大幅に税額を抑えることができます。また、支給した会社側も役員退職金を損金に算入することができるため、利益を抑え、純資産を減らすことにつながります。

● 不動産購入
会社の資産として現金や預金ではなく不動産を保有する方法です。これにより資産の評価額が低く算定され、会社の純資産額も下がります。一般に、不動産の相続税評価額は実勢価格より2~3割低くなります。また、賃貸用の不動産であれば建物は「貸家」、土地は「貸家建付地」としてさらに評価額が下がります。ただし、会社が取得してから3年以内の不動産は時価で評価されることになっていますので、その点は注意が必要です。

● 減価償却
会社が設備投資を行うことも自社株の評価対策として有効です。機械や備品などを購入すると投資額を減価償却という方法で毎期の費用に分割して計上していきます。つまり、減価償却すると、利益や純資産額を抑えることが可能になります。不動産のうち土地は減価償却の対象になりませんが、建物は減価償却の対象になります。そのため、不動産評価との相乗効果で自社株の評価をより下げることができます。

● 生命保険の活用
事業保険を活用することで自社株の評価を抑えることも可能です。事業保険の種類にはさまざまあり、条件によって保険料を損金にできるものとそうでないものがあります。保険料を損金に計上できるタイプであれば、会社の利益を抑えるとともに、純資産の上昇を抑制することにつながります。
 

以上のように、自社株の評価を下げる方法には複数のものがあります。また、それぞれの方法で実際に事業承継の対策を行う際に注意すべき点も異なります。自社株対策は専門部署のある金融機関や税務専門家の意見も参考にしながら進めるのが正攻法だと言えるでしょう。


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