事業承継
2018/06/11

事業承継対策で役立つ従業員持株会とは?

(写真=pathdoc/Shutterstock.com)
(写真=pathdoc/Shutterstock.com)
事業承継対策の1つに、従業員持株会制度の活用があります。今回は、従業員持株会制度の概要や、持株会設立に伴う自社株評価の計算方法、制度を活用する際の会社と従業員双方のメリットとデメリットについて説明します。

従業員持株会制度とは

従業員持株制度は、従業員が自社の株式を買い取って経営に参画し、会社は従業員に配当金を支払うことで従業員の中長期的な資産形成を支援する制度です。一般的に、株主は、株式の取得で経営に参画する権利と配当金を受け取る権利の2つを得ることができます。

自社の株式を持つ従業員が集まって設立する機関を従業員持株会と言います。従業員持株会は、民法上、組合に分類されます。株主名簿には従業員持株会の理事長の氏名が記載されますが、配当金は従業員それぞれに配分されます。

税法上の同族株主の場合、会社規模により自社株を類似業種比準価額方式、もしくは純資産価額方式で評価を行います。一方で、従業員持株会の場合は、配当還元方式で自社株を評価します。

配当還元方式では、過去2年間の配当金額を10%の利率で還元して自社株評価を算出する方法を採用します。時価が高い株式であっても、通常は原則的評価方式より低い株価で購入できるので、従業員持株会にとって資金面の負担が少ない方式です。

[配当還元方式による自社株評価の計算]
・1株当たりの年平均配当金額総額={(直前期の配当金額総額+直前々期の配当金額総額)÷2}÷1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数    
・1株当たりの配当還元価額=(1株50円当たりの年平均配当金額総額÷10%)×(直前期末の1株当たりの資本金等の額÷50円)

[上記の計算例]
直前期末の資本金等の額:2,500万円
発行済株式数:1万株
1株当たりの資本金等の額:2,500円
1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数:2,500万円÷50円=50万株
直前期の配当金総額:200万円
直前々期の配当金総額:300万円 とする

・1株当たりの年平均配当金={(200万円+300万円)÷2}÷50万株=5円    
・1株当たりの配当還元価額=(5円÷10%)×(2,500円÷50円)=2,500円

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従業員持株会制度のメリット

従業員持株会には、次のようなメリットがあります。

・自社株を従業員持株会に移転することで相続資産を減らすことができる
・自社株の外部への流出を防げるので、会社の株主構成が安定する
・会社にとっては会社の福利厚生制度の充実、従業員にとっては安定した財産形成につながる
・会社が奨励金制度を設ける場合には、従業員は奨励金を活用すれば時価よりも安い金額で自社株を購入できる
・従業員に経営参加意識を持たせることができ、勤労意欲増進につながる

従業員持株会制度のデメリット    

一方で、従業員持株制度には、次のようなデメリットや留意点もあります。

・業績が良い時も悪い時も、会社は自社株を保有する従業員に決算報告を開示する必要がある
・退職等で従業員が退会する際は、トラブルを避けるために、会社は買取価格を規約で定めておく必要がある(非上場株式の場合、通常、退会時には取得価額と同額で従業員持株会が買い取る)
・退職が相次ぎ退会が重なると、換金が集中することで会社の資金繰りが悪化するおそれがある
・株式の種類が議決権のない株式である場合、従業員は利益に対する配当金を受け取ることはできるが、議決権はなく経営に参画できない
・代表者個人から従業員個人に自社株を移す際、従業員に課税を生じさせないためには、評価額が資本金等の価額の簿価と同額に近くなる配当還元価額方式で自社株を評価する必要がある

以上、従業員持株制度について説明しました。従業員持株制度を導入すると会社、従業員の双方にメリットとデメリットが生じます。それらを踏まえた上で、事業承継対策として従業員持株会を設立することが望ましいででしょう。

執筆:株式会社ZUU

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