事業承継
2018/06/19

事業承継対策として逓増定期保険を活用するときのポイント

(写真=Lightspring/Shutterstock.com)
(写真=Lightspring/Shutterstock.com)
2018年度税制改正では事業承継税制の大幅な要件緩和が行われました。中小企業庁は事業承継を円滑化する各種制度について、パンフレットや刊行物を作成して周知しているほか、都道府県に設置された事業引継ぎ支援センターでも積極的に相談対応しています。

事業承継を後押しする機運が高まる中、自社でも事業承継対策を始めようと考えている経営者が多いと思います。今回は数多くある事業承継対策の中から、逓増定期保険を活用した対策のポイントを紹介します。

事業承継対策とは?


・自社株評価の対策
法人保険を活用して事業承継対策をする場合、自社株評価を下げることを念頭に置くことが多いでしょう。事業承継では自社株を後継者に相続させたり、第三者に譲渡したりする必要があります。自社株を後継者に相続させる場合、相続税を抑えるために自社株の評価額を低くすることが重要です。また、第三者に自社株を譲渡する場合でも、自社株評価が低い方が譲渡しやすいです。

・事業承継資金の対策
会社経営を後継者にバトンタッチする場合、先代経営者に退職金を支給するケースが考えられます。また、相続が発生した場合に後継者以外の相続人から会社が自社株を購入するケースもあります。こうした事業承継に付随する資金を準備することも事業承継対策としては重要です。

逓増定期保険とはどのような保険か


それでは、逓増定期保険の概要を確かめていきます。

・定期保険の意味
「定期保険」というのは掛け捨ての保険を意味します。つまり、定期保険の保険料は万が一のときの保障を目的としたもので、貯蓄や積立を目的とした保険ではありません。満期保険金などは受け取れないのです。逓増定期保険も定期保険の一種で、基本的には掛け捨ての保険です。満期保険金もありません。

・逓増の意味
「逓増」は「徐々に増えていくこと」という意味です。逓増定期保険は保険期間の後半に保障額が増えることを指しています。つまり、保険金が一定のタイプではなく、保険金額が徐々に増えるタイプの保険と言うことができます。

・逓増定期保険の特徴
逓増定期保険は保険期間が経過するにつれて5倍まで保険金額を増やすことが認められています。また、満期保険金はないものの、保険期間の途中で解約した場合には解約返戻金を受け取れます。解約返戻率は保険期間を通じて山なりに変動し、保険期間の開始時から数年のうちに、100%近くに達するものが一般的です。

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逓増定期保険のメリット・デメリット


・逓増定期保険のメリット
逓増定期保険では支払った保険料のうち、一定の割合を会社の損金とすることができます。一般的な割合は2分の1程度です。単純な掛け捨ての保険であれば、保険料が会社の損金になるのは、ある意味当然のことと言えます。しかし、逓増定期保険では解約返戻金が高く設定されており、資金を積み立てたかのような効果が得られます。一定の効果がある一方で、保険料の一部を損金に算入して法人税などを安くすることができる意味でメリットは大きいと言えるでしょう。

また、経営者が退任する際や大きな設備投資などをする際に逓増定期保険を解約すれば、解約返戻金を退職金や設備投資の資金に充てることができます。仮に解約したくない時期に資金需要があった場合には契約者貸付制度を利用し、解約返戻金の一部を借りることができるメリットもあります。

・逓増定期保険のデメリット
逓増定期保険では保険料の一定割合を会社の損金に算入できる半面、解約返戻金を受け取ったときには会社の益金となるため、多額の課税所得が発生する可能性があります。

また、解約返戻率のピークは比較的短い期間しか続きません。その時期に解約しなかった場合、保険料の支払いと解約返戻金の受け取りとの収支が大きくマイナスになる可能性があります。

事業承継対策として活用するときに気をつけるべきこと


以上のような特徴を勘案すると、逓増定期保険を活用する際には、解約返戻金を受け取った事業年度に退職金を支出するなどし、課税所得が発生しないように工夫する必要があります。また、解約返戻率のピーク時に退職金支払いなどが発生するように計画を練ることが必要でしょう。
 

執筆:株式会社ZUU

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