事業承継
2018/08/18

後継者の目線からみる事業承継

(画像=PIXTA)
(画像=PIXTA)
後継者は事業承継に対してどのようなスタンスで臨めば良いのでしょうか。事業承継ではヒト・モノ・カネといった経営全般にわたって対策が必要です。後継者へのスムーズな承継を実現するための対策は先代経営者の責務ではありますが、後継者の側でも準備しておくことが望ましいのは言うまでもありません。

本稿では、後継者の目線に立ち、事業承継対策を「自分でしておくべきこと」と「先代経営者にお願いしておくべきこと」の2つに分けて解説します。

事業承継では準備が大切


事業承継では計画的に準備を進めることが重要であると言われます。これは事業承継対策には後継者の育成も含めると5~10年の期間がかかるためです。たとえば、70歳前後で引退することを想定すると、先代経営者が60歳頃から対策をスタートさせることが必要ということです。

また、継承する会社は先代経営者が創業者として一から興したオーナー会社であるといったケースも多いことでしょう。その結果、社長交代を経験していなかったり、世代的にIT化への対応が進んでいない場合もあります。

こうした状況も踏まえながら、後継者は準備しておくことが求められます。

>> 【無料eBook】中小企業経営者の相続トラブル事例集

後継者として準備しておくことは?

・自分でしておくべきこと

(1)独自の人脈を築いておくこと

将来、経営をバトンタッチされたあとの事業展開のためには、独自の人脈を築いておくことが有用と考えられます。先代経営者が築いたネットワークや社内人脈と並行して、独自の人脈を築くことも心掛けると良いでしょう。地域の経営者交流会に参加するほか、青年会議所での活動が人脈形成につながるケースもあります。

(2)あらゆる職種の知識を身に付けておくこと

会社経営では、営業だけでなく、労務、法務、財務、システムなどあらゆる分野の知識が求められます。自分で意識して各部門の業務知識を身に付けるよう研鑽するほか、セミナーや研修に参加するのもよいでしょう。たとえば、商工会や商工会議所が主催する経営革新塾やその他の実務セミナー、中小企業大学校で開講される経営後継者研修のほか、一部地域金融機関でも後継者育成研修を実施しています。

(3)新規事業分野への進出などの構想をしておくこと

事業承継を機に、新規事業に進出するケースや社内管理においてIT対応を進めるケースもあります。そうした構想は、ある程度時間をかけて練っておくことが必要です。たとえば上述した中小企業大学校の経営後継者研修では10か月の全日制カリキュラムのうち、自社を想定した事業プランの策定なども含まれています。

・先代経営者にお願いしておくべきこと

(1)主要取引先などへの紹介

事業承継の準備として主要取引先に後継者を紹介することが必要となります。紹介が進んでいない場合には後継者の方から先代経営者に促してみることも必要かもしれません。また、後継者が、承継する会社内での仕事を始めて間もないなどといった場合には、社内人脈の形成や社内ローテーションなどについても合わせて協議すると良いでしょう。

(2)経営権の集中

事業承継後、スムーズに経営を行うためには経営権が後継者に集中している必要があります。後継者に兄弟姉妹がいるなど株式が分散する可能性がある場合には、経営権を集中するための対策を先代経営者と話し合っておくことも有用です。たとえば、種類株式を活用し、経営に関与しない推定相続人には無議決権株式を承継させるなどの方法が考えられます。

(3)相続税対策

相続税については、自社株の評価を抑えて相続税そのものの負担を軽減する税額対策と相続税を支払うための資金を確保する納税資金対策の両方が必要です。平成30年度改正による事業承継税制の特例では、特例承継計画を都道府県に提出することになります。そこには事業承継後のプランも含まれるため、まさに先代経営者と後継者が協力して作成すべき分野といえるでしょう。

事業承継がうまくいった事例

信託を活用して事業承継を円滑に進めた事例もあります。具体的には、先代経営者Aさんが信託という仕組みを活用し、受益権や議決権行使の指図を妻のBさんに委託したものです。Aさんが亡くなったあとは息子のCさんが受益者の地位を引き継ぐことになっていました。

これにより、遺産分割協議などによって経営の空白期間が生じることなく事業承継が可能となりました。また、信託には先代経営者が認知症などによって想定外の第三者に株式を譲渡してしまうリスクを防止できるというメリットもあります。

事業承継対策に活用できる仕組みとしては、こうした信託や上述した種類株式のほか、持株会社の設立、生命保険契約の締結などもあります。信託を取り扱っている金融機関であれば、包括的に相談することもできます。先代経営者に任せるだけでなく、後継者から適切な方法を提案するのも良いのではないでしょうか。

執筆:株式会社ZUU

>> 【無料eBook】中小企業経営者の相続トラブル事例集

>>お金の専門家に相談してみる

>>おすすめのセミナーはこちら
 

【オススメ記事】
深刻な後継者不足。事業承継で考えたいM&A
中小企業経営者の半数以上が事業承継の対策ができていない?
事業承継で考えたい自社株の評価を下げる方法
100年企業に学ぶ事業承継術
高級感あふれるプライベート空間「プレミアサロンうらわ」訪問記

PREV 「医業承継」の流れと税に関する注意点 引退への備えは早めに始めよう
NEXT 事業承継において増加しているM&Aの概要を理解しよう

関連記事