事業承継
2019/01/11

「経営権」を意識した対策を!持ち株を相続する場合

(写真=StockLite/Shutterstock.com)
(写真=StockLite/Shutterstock.com)
通常の相続事案とは異なり、「経営権」が絡む相続の場合は、法定相続通りの分割では混乱をきたしてしまう可能性があります。そこで今回は、経営権を意識した相続対策の注意点について解説します。

来る、団塊世代の大量引退

少子高齢化が進む日本社会において、中小企業をはじめとする各企業の経営者も高齢化が進んでいます。2018年版「中小企業白書」によると、中小企業の経営者年齢はどんどん上がっており、ここ20年間でピーク年齢は47歳から66歳へと高齢化しているのがわかります。

こうした背景をふまえると、今後は経営者の交代や廃業に向けた動きが活発化していくと予想されます。そして、早い段階からきちんと準備を進めていかなければ、後継者の育成や経営の引継ぎをスムーズに行うことができず、会社の安定性を損なう事態になりかねません。高齢化に伴う速やかな準備は、あらゆる企業にとって欠かせないものと言えるでしょう。

持ち株の相続には注意が必要

会社の引継ぎ時において特に注意が必要なのは、「持ち株の相続」に関してです。相続人に対し、何ら計画性もなく持ち株を相続してしまうと、経営権のバランスが崩れてしまいかねません。多くの中小企業にあるようなオーナー社長の場合、株の大半を所有しているのが通例であり、その株式が分散することによって経営の基盤が崩れてしまう可能性があるのです。

本来であれば、経営権を承継する相続人に対し、株式を集中させておかなければなりません。それが、経営権を意識した持ち株の相続対策となります。次の経営者が株式の大半を保有できていれば、その会社が外部の人間に乗っ取られる心配もありません。また、経営権が誰にあるのか明確になり、会社の運営もスムーズにいくでしょう。

経営権を意識した持ち株の相続対策

では、経営権を意識した持ち株の相続対策として、具体的にどのような方法があるのでしょうか。ポイントとしては、経営権を相続する相続人を特定し、他の相続人にも配慮した相続の準備を進めていくことにあります。たとえば、次のような手法が挙げられるでしょう。

・「遺言」を作成する

経営権を相続する相続人を特定するために、欠かせないのが「遺言」の活用です。あらかじめ遺言を作成しておくことで、法定相続による株式の分散を防ぐことができます。できるだけ早い段階で次の経営者を決めておき、株式および事業用資産を相続できるよう遺言を作成しておきましょう。その際には、遺言の不備などが生じないように注意してください。

・「保険」で資金を用意する

次の経営者に対して株式や事業用資産を相続すると、資産が集中することもあり、他の相続人が不満に感じることも少なくありません。そのような場合を見越して、他の相続人のために分配する資金も用意しておきましょう。たとえば、相続・承継対策に活用できる保険に加入しておけば、分配用の資金を準備でき、公平感のある相続を実現することにつながります。

・「従業員持株会社」の活用も

また、外部への株式流出を防ぐという観点から、「従業員持株会社」の活用も検討するといいでしょう。とくに上場している会社の場合、敵対的買収者に対する抑止力になることに加えて、安定的な株価形成が期待できます。もちろん、福利厚生の一環としても活用でき、社員のロイヤリティを高める効果もあります。会社の規模や状況に応じて、導入を検討してもいいでしょう。

相続後の混乱を避けるために

相続に伴う経営権の分散は、会社の基盤を揺るがしかねない問題です。経営権が安定していなければ、そこから会社の屋台骨が崩れてしまうことも少なくありません。来るべき相続に向けて、今のうちから準備を進めておきましょう。相続後の混乱を未然に回避し、相続後の混乱を避けるために、経営権を意識した持ち株の相続について、今一度、考えてみてはいかがでしょうか。
 

執筆:株式会社ZUU

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