事業承継
2019/03/13

2020年の大量引退に向けて!外資系企業とのM&Aという事業承継の新しいかたち

(写真=Atstock Productions/Shutterstock.com)
(写真=Atstock Productions/Shutterstock.com)
人口減少が進む日本社会において、企業は労働力不足などさまざまな課題に直面しています。なかでも日本企業の99%以上を占める中小企業の多くは、経営者の高齢化に伴う事業承継の問題は深刻です。
そうした中、近年事業承継の新たな手法として、経済産業省や日本貿易振興機構などが主導する外資系企業とのM&Aが注目を集めています。中小企業が置かれている状況と課題、新たな事業承継のかたちをご紹介します。

経営者の高齢化が進む中小企業。事業承継が急務に

いま日本では、中小企業をはじめとする「事業承継」の問題が、大きな課題として取り沙汰されています。その深刻さを表す指標として、団塊の世代が後期高齢者となる2020年頃に、引退する経営者が増大すると試算されているのです。事実、経済産業省中小企業庁が発表した「事業承継に関する現状と課題について」によると、2020年頃に数十万の団塊経営者が引退時期に差し掛かるとされています。

また、中小企業経営者全体としても、高齢化が進んでいます。同調査に掲載されている2015年時点のアンケートによると、1995年段階での中小企業経営者の年齢は47歳がピークであったものが、2015年には実に66歳に上がっています。これは、40代であった中小企業経営者のピーク年齢が、この20年において、そのまま60代へと推移していることを意味しています。

同様に、経営者の平均引退年齢も伸びています。2012年のアンケート調査によると、30年以上前であれば、平均引退年齢が中規模企業で61.3歳、小規模事業者で62.6歳であったのに対し、0~4年前になるとそれぞれ67.7歳、70.5歳に伸びています。このことからも明らかなように、中小企業では事業承継がスムーズに進んでいないことは明白です。まさに、早期の対策は急務と言えるでしょう。

ご存知の通り、日本では世界でも類を見ない少子高齢化社会が進展しています。そうした状況において、中小企業の事業承継が問題となるのも当然です。一方で、約420万社ある日本企業は、全体の99.7%が中小企業です。従業員数に関しても約7割を占めているとされています。そのような日本経済の中核を担っている中小企業が、経営者の引退によって危機にさらされているというのが、今日の日本企業の実情です。その中には、業績が好調であるにもかかわらず、事業承継できないかもしれないと悩んでいる企業経営者が3割存在しているという点も見逃せません。

外資系企業とのM&Aという新しい選択肢

そんな中、停滞する事業承継の問題を解決するべく、「外資系企業とのM&A」を支援する動きが出てきています。これまで行われてきた一般的な事業承継や国内企業とのM&Aに頼るのではなく、外資系企業とのM&Aを模索することにより、後継者問題が解決に向かうかもしれません。

経済産業省によるデータベースの解放

日本経済新聞(2018年10月17日付)が報じたところによると、経済産業省は、中小企業のM&A情報を集めたデータベースを、外資系企業に開放する方針を打ち出したそうです。その具体的な内容としては、日本貿易振興機構(ジェトロ)を通じて情報提供を行いつつ、日本の中小企業の製品や技術に関心がある外資系企業に紹介するものとされています。

ジェトロを通じた積極的な情報提供

外資系企業とのM&Aを推進するにあたり、ポイントとなるのはやはり、ジェトロの活用でしょう。すでにジェトロには、「日本の中小企業を傘下におき、自社の販売品目を増やしたい」といった要望が寄せられているとのこと。その点、従来型の事業承継を模索するよりも、中小企業が生き残れる可能性が広がるであろうと考えられます。

外資系企業とのM&Aは加速していく

また同報道によると、宮城県の温泉旅館をジェトロが支援した香港の企業が、スパリゾートとして再生するなどの先行事例も生まれているようです。これまでにも経済産業省は、事業承継の推進に力を入れていますが、今後は海外も視野に入れることで、さらに問題解決に向けた動きが促進されるかもしれません。企業にとってのチャンスも広がることでしょう。

育てた事業を後世に残していくために

自分が育てた事業を海外企業に売却するということには抵抗があるかもしれません。しかし、厳しい人口減少社会が進む日本において、これから先の未来へと事業を承継していくためには、海外を視野に入れることも重要となるでしょう。育てた事業を後世に残すために、中小企業経営者はさまざまな道を模索していく必要があるでしょう。
 
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